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歯周病の初期症状から進行段階ごとの状態まで歯茎のサイン別に整理

歯周病の初期症状から進行段階ごとの状態まで歯茎のサイン別に整理

目次

歯茎のサインから歯周病の段階を見極めるために


歯みがきのときの出血や、歯ぐきが下がってきたことは、歯周病が初期から中等度へ進んでいるサインかもしれません。 痛みがなくても、歯を支える骨がなかで溶けていることがあります。そのため、見た目の変化に応じて、歯ぐきの状態を確かめることが大切です。この記事では、歯肉炎から重度歯周炎までの段階ごとの状態、糖尿病とのお互いのかかわり、歯科医院で行う検査や治療の流れについてご説明いたします。


この記事の要点まとめ


  • 出血や赤みから、歯ぐきが下がる・歯がぐらつくといった変化まで、サインは進み具合によって違い、見た目だけでは見分けにくいことがあります。
  • 歯周病は痛みが目立たないまま進むことがあり、たばこや糖尿病などの体の状態も進み方にかかわります。
  • 歯科医院では検査や歯石とり、再評価を行い、おうちでのケアと定期的なメンテナンスを続けます。

歯周病の初期症状から進行した状態まで、歯茎のサイン別に整理

歯周病の初期症状から進行した状態まで、歯茎のサイン別に整理

歯周病は、炎症が歯ぐきだけにとどまる「歯肉炎」から、歯を支える骨(歯槽骨)にまで広がる「歯周炎」へと、少しずつ進みます。ご自身で気づける歯ぐきのサインと、進み具合の目安は次のとおりです。


進行段階歯周ポケットの目安主な自覚症状と歯茎の状態
歯肉炎2〜3mm歯茎の赤み・腫れ、歯磨き時の出血
軽度歯周炎約4mm出血に加え、起床時の口のねばつき、軽い口臭
中等度歯周炎4〜6mm歯茎が下がり歯が長く見える、冷たい物がしみる
重度歯周炎6mm以上歯のぐらつき、歯間のすき間、歯茎から膿が出る

歯磨きで血が出る・赤く腫れるのは歯肉炎から軽度歯周炎のサイン


歯磨きで血がにじむ、または歯茎の縁が赤く丸みを帯びて腫れている状態は、歯肉炎から軽度歯周炎で見られる初期症状です。健康な歯茎は薄いピンク色で引き締まっていますが、歯と歯茎の境目にプラーク(歯垢)がたまると細菌によって炎症が起きます。


歯肉炎の段階では、歯と歯ぐきのすき間の深さは2〜3mmほどで、炎症は歯ぐきだけにとどまっています。歯ぐきのふちが部分的に赤く腫れますが、自分ではほとんど気づかないことが多い段階です1。


この段階でプラークを取り除けば、元の健康な歯茎に戻りやすい状態です。炎症が少しずつ深くなり約4mmの軽度歯周炎へ進むと、朝の口のねばつきや口臭が加わることがあります1。


歯が長く見える・冷たい物がしみるのは歯茎が下がり始めた目安


以前より歯が長く見える、あるいは冷たい水がしみる場合は、中等度歯周炎へ進み始めている目安となります。炎症が長引くと歯を支える歯槽骨が少しずつ溶け、それに伴って歯茎が下がる「歯肉退縮」が起こるためです。


歯ぐきが下がると、ふだんは隠れている歯の根もと(象牙質)が出てきて、刺激が神経に伝わり、しみる症状(知覚過敏)が出やすくなります2。骨が減りはじめるのは軽い歯周炎のころからで、歯周ポケットが4〜6mmほどの中くらいの歯周炎では、さらに進んでいることが多いため、早めに確かめることが望まれます。


歯のぐらつき・歯間のすき間・膿は重度へ進んだ状態で、抜歯につながることがある


指や舌で触れると歯が揺れる、食べ物が歯間に挟まりやすくなった、歯茎から膿が出るといった症状は、重度歯周炎のサインです。歯槽骨の大部分が失われて歯を支えきれなくなっており、噛んだときに浮いたような違和感や痛みが出ることもあります。


重度に進んだ歯周病は、40代や50代以降で歯を抜くことになる原因のひとつです。歯が抜けたままにすると向かい合う歯が伸びてくるなど噛み合わせ全体の崩れにもつながるため、ご自身の歯を残すことを第一に考えるなら、ぐらつきが出る前の対応が鍵となります。


鏡とフロスで分かること・分からないことの境目


日常のセルフチェックでは、鏡で歯茎の色や下がり具合を観察し、デンタルフロスを通した際に出血や引っかかり、特有のにおいがないかを確認します。しかし、歯周ポケットのくわしい深さや歯槽骨の減り具合は外からは見えず、見た目が軽くても内部で進行しているケースがあります。


同じようなお口の環境でも進行度合いには個人差があるため3、セルフチェックはあくまで歯科医院を受診するきっかけとしてご活用ください。


ポイント

出血や腫れは初期から現れますが、歯が長く見える状態は骨の吸収がさらに進んでいるサインです。見た目の確認だけで判断せず、検査で内部の状態を確かめることが歯を守る第一歩になります。


痛みが目立たないまま歯周病が進行する理由と糖尿病との双方向の関係


歯周病は自覚症状が乏しいまま進行しやすく、喫煙や糖尿病などの全身状態によって悪化のスピードが変化します。


「痛くないから初期」は誤解、炎症が骨へ静かに広がるしくみ


歯周病は慢性の炎症であるため、むし歯のような強い痛みが出ないまま歯槽骨の吸収が進む特徴があります。 腫れや噛んだときの痛みがはっきり現れる頃には、すでに中等度以上に進行していることが少なくありません。


歯科医院は「痛くならなければ行かないところ」と考えられがちですが、痛みが出る前に変化を見つける予防処置の視点が、将来どれだけ自分の歯を残せるかを左右します。なお、口の中の腫れやしこりの中には、初期に痛みや出血を伴わない別の疾患が隠れている場合もあるため、口内炎などと思い込んで放置しないことが勧められます4。


進行のスピードは人によって違い、喫煙や血糖値が左右する


歯周病がどのくらいの速さで進むかは一律ではなく、数年かけてゆっくり進む方もいれば、短期間で骨の吸収が進む方もいます。同じようなお口の環境であっても進行には個人差があり、重症化しやすい方がいることも知られています3。


この進行スピードを左右する要因には、日々の歯磨き習慣に加え、喫煙、ストレス、そして血糖値の管理状態などが挙げられます。ご自身のリスク要因を把握しておくことが、適切な管理につながります。


糖尿病と歯周病は互いに悪化させ合う関係にある


糖尿病と歯周病は、お互いの状態に影響しあう、深いかかわりがあります。血糖値が高い状態が続くと、白血球の働きが弱まり、ばい菌への抵抗力が下がります。そのため歯ぐきの炎症が治りにくくなり、歯周病が進みやすくなります。


反対に、歯周病で続く炎症から出る物質が血液に乗って体をめぐると、インスリンのはたらきをじゃまして、血糖のコントロールを乱すほうにも働きます5。歯周病が体全体の炎症をとおして、ほかの病気とかかわるしくみについても、多くの研究が進められています。つまり、歯周病の治療でお口の炎症をおさえることは、血糖の管理を支える助けにもなります5。 医科と歯科が力を合わせ、血糖値など体の状態を知りながら治療を進めることが大切です。


様子見をやめて早めに受診したいサインの目安


次のような状態が見られる場合は、様子見を続けずに歯科医院での検査をご検討ください。


  • 丁寧な歯磨きを1〜2週間続けても歯茎からの出血や腫れが治まらない
  • 以前より歯が長く見える、または冷たい物がしみる
  • 歯がぐらつく、噛むと浮いたような違和感がある
  • 歯茎から膿が出る、または口臭が強くなったと感じる
  • 糖尿病などで内科に通院しており、数年以上歯科検診を受けていない

強い痛みがなくても、これらのサインが複数当てはまる場合は専門的な確認が望まれます。


歯周病の検査から歯石除去、継続管理までの流れと受診前の準備


歯科医院では、全身状態や服薬状況を確認したうえで歯茎と骨の検査を行い、段階に応じた歯石除去と継続管理を進めていきます。


受診時に持参したいお薬手帳・血液検査結果・内科の情報


糖尿病などで内科に通院中の方は、受診時にお薬手帳と最近の血液検査結果(HbA1cや血糖値が分かるもの)をご持参ください。 血糖降下薬や血液をさらさらにする薬の服用状況、および通院中の医療機関の情報が分かると、出血を伴う処置の計画や低血糖への配慮を適切に行うことができます。


当院では、となりの医科と同じカルテを使い、これまでにかかった病気やお薬の情報を分け合っています。また、日本歯科衛生士会認定糖尿病予防指導歯科衛生士もいます。久しぶりの受診でも、いまの状態から無理のない計画を立てていきますので、気がねなく情報をお伝えください。


歯周ポケット測定・出血の確認・レントゲンでそれぞれ分かること


歯周病の進行度を確定するため、初診時には複数の検査を組み合わせてお口の状態を詳しく調べます。まず、目盛りのついた細い器具で歯周ポケットの深さを測り、同時に測定時の出血の有無から歯茎の奥の炎症状態を確かめます。


さらに、ピンセットで歯の揺れ具合(動揺度)を確認し、デジタルレントゲンで外からは見えない歯槽骨の吸収の程度を確認します。必要に応じて、歯科用CTで骨の状態を立体的に確認します。これらの結果をもとに、患者様の現在の状況とこのまま放置した場合の見通しを丁寧にご説明いたします。


超音波スケーラーによる歯石除去と再評価、外科治療を検討する場合


検査後は「歯周基本治療」として、歯磨き方法の見直しと、超音波スケーラーなどの専用器具を用いた歯石除去(スケーリング)を行います。一度にすべてを取り除くのではなく、お口の中をいくつかのブロックに分けて数回通院していただくのが一般的です。治療にかかる期間は、歯周病の段階や歯石の量によって変わります。


一通りの歯石除去が終わった後に再評価の検査を行い、歯周ポケットや出血の改善度合いを確認します。深いポケットや骨の吸収が残る場合には、歯茎を開いて奥の歯石を取る歯周外科治療や、失われた組織の回復を図る歯周再生治療を検討することがあります。


基本的な検査や歯石とりには、公的医療保険が使えます。一部の歯周再生治療は、保険が使えない自費診療になることがあります。かかる費用や通う回数は、症状や医療機関によって変わるため、診察のうえでご案内いたします。


歯科治療がこわい方には、静脈内鎮静法や笑気麻酔を選ぶこともできます。当院ではどちらも自費診療で、静脈内鎮静法は1回55,000円〜82,500円(税込)です。笑気麻酔は1回11,000円〜33,000円(税込)で治療時間によって変わり、インプラント治療や自費の被せ物の治療のときは笑気麻酔の費用は追加されません。


なお、処置のあとには、腫れや痛み、出血のほか、冷たい物がしみる知覚過敏や、歯ぐきが下がるといった症状が出ることがあります。


治療にあたっては、各方法のメリットだけでなくデメリットについても解説し、ご納得いただいたうえで、なるべく少ない治療回数で済むよう綿密な計画を立てて進めていきます。


治療後のメンテナンス頻度と再発を防ぐ家庭でのケア


歯周病の治療が終わったあとも、3〜6ヶ月ごとの定期検診で歯周ポケットの再検査と専門的なクリーニングを続けることが勧められます。ご家庭では、歯ブラシに加えてデンタルフロスや歯間ブラシなどの補助器具を併用することが再発予防につながります。


矯正治療中の方を対象にした研究では、歯ブラシに加えて歯科用ウォータージェットを使うと、歯ブラシだけのときよりもプラークや歯ぐきの出血が減ったと報告されています。内科での血糖管理と並行して日々のケアと定期検診を継続することが、10年、20年先を見据えた予防処置となります。糖尿病の通院状況を含め、気になる歯茎の症状があれば一度検査をご相談ください。


ポイント

受診時はお薬手帳と血液検査結果を持参し、全身状態を伝えたうえで検査を受けましょう。歯石除去後の再評価と定期的なメンテナンスを続けることが、10年、20年先までご自身の歯を守る土台になります。


よくある質問


Q. 歯周病はどのくらいのスピードで進行しますか?


A. 進行の速さには個人差があり、数年かけてゆっくり進む方もいれば、数ヶ月から1年ほどで急速に骨の吸収が進む方もいます3。喫煙習慣や糖尿病による高血糖、歯ぎしり、日々のプラークの付着状況などが重なると進行が早まりやすいため、痛みがなくても検査で現在の状態を把握しておくことが勧められます。


Q. 軽度の歯周病の症状は何ですか?


A. 軽度歯周炎の段階では、歯磨きをしたときの歯茎からの出血、歯茎の縁の赤みや腫れ、朝起きたときの口の中のねばつき、軽い口臭などが主な症状です。歯周ポケットの深さは約4mmが目安で1、歯を支える骨の吸収がわずかに始まっていますが、痛みはほとんどないため気づきにくいのが特徴です。


Q. 歯科医院に行く時間がなかなか取れないのですが、何回くらい通う必要がありますか?


A. お口の状態や歯石の量によって異なりますが、軽度から中等度の場合、初診の検査から歯石除去、その後の再評価まででおおむね3〜6回程度の通院(期間にして1〜3ヶ月程度)が一般的な目安です。初診時に口腔内の状態を詳しく確認し、仕事の都合や内科への通院スケジュールに合わせて、なるべく少ない回数で進められるよう治療計画を相談することが可能です。


Q. 出血があるときは、歯磨きを控えたほうがよいのでしょうか?


A. 出血を理由に歯磨きを控えると、原因であるプラークがさらにたまって炎症が悪化してしまいます。出血している場所ほどプラークが残っているサインですので、柔らかい毛先の歯ブラシを選び、力を入れすぎず小刻みに動かして優しく汚れを落とすようにしてください。1〜2週間続けても出血が続く場合は、歯石が付着している可能性が高いため歯科医院での除去が必要です。


参考文献


1. 体のお口は体から | ナオミ通信 | 8020推進財団. https://www.8020zaidan.or.jp/naomitsushin/vol_03.html

2. 知覚過敏 – 歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020 https://www.jda.or.jp/park/trouble/index12.html

3. 日本臨床歯周病学会 | 歯周病の重症化について https://www.jacp.net/perio/severe/

4. 口腔がんの原因・症状について https://www.ncc.go.jp/jp/information/knowledge/oral/001/index.html

5. 歯周病と糖尿病の深い関係 | 糖尿病情報センター. https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/070/040/01.html


小西 雅也

歯科医師


熊谷ディアベテスクリニック歯科

医長

小西 雅也

▶ 監修者プロフィール

経歴
昭和62年
日本歯科大学歯科専門学校 歯科技工士科卒業 歯科技工士登録
Branemark Implant Technical Aspects 取得
平成7年
日本歯科大学新潟生命歯学部卒業 歯科医師免許取得
平成11年
日本歯科大学大学院新潟歯学研究科終了 歯学博士号取得
平成11~18年
日本歯科大学新潟歯学部附属病院口腔外科 講師
平成18年~
日本歯科大学新潟歯学部附属病院インプラントセンター臨床講師
平成21年
石丸安世記念熊谷ディアベテスクリニック歯科 医長就任
資格・所属学会
IMZ twin plus implant system FRIADET社(ドイツ)公認インストラクター
FRIALIT2 implant system FRIADENT社(ドイツ)公認インストラクター
カムログインプラントアルタテント社(スイス)テクニカルアドバイザー
SPI implant thoman medical社(スイス)インストラクター
国際インプラント学会 認定医
日本口腔診断学会 認定医
日本歯科大学歯学会
日本口腔外科学会
日本補綴歯科学会
日本口腔インプラント学会
IADR JADR