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食事で入れ歯がずれて痛い原因は歯茎の変化や摩耗にあり固定する方法も紹介

食事で入れ歯がずれて痛い原因は歯茎の変化や摩耗にあり固定する方法も紹介

目次

食事中に入れ歯が浮く・当たる背景と、受診までにできること


5年ほど使った入れ歯が、肉や野菜を噛むたびに浮き、歯ぐきが痛むことがあります。多くの場合、歯ぐきやあごの骨の形が変わることと、入れ歯のすり減りやゆるみが重なって起こります。安定剤は一時的な助けにとどまり、もとから直すには歯科での調整や裏打ちが必要です。この記事では、原因の見分けかた、受診までの食事の工夫、歯科に伝えたいことをまとめます。


この記事の要点まとめ


  • 入れ歯のずれや痛みは、歯ぐきやあごの骨の変化、入れ歯のすり減りやゆるみが関係することがあります。
  • 安定剤は一時的な助けです。症状にあわせた調整や裏打ちなどを歯科で相談しましょう。
  • 受診までは食べ物を小さくやわらかくし、症状や食事の記録、お薬手帳を用意すると伝えやすくなります。

食事中に入れ歯がずれて痛いのはなぜ?歯茎の変化や摩耗など考えられる原因

食事中に入れ歯がずれて痛いのはなぜ?歯茎の変化や摩耗など考えられる原因

入れ歯が合わなくなる主な理由は二つです。歯茎や顎の骨が年月とともに形を変えること、そして入れ歯の側もすり減ったり変形したりすることです。外れ方にも違いがあり、部分入れ歯はバネのゆるみ、総入れ歯は吸着の弱まりが関わりやすい傾向があります。


歯茎や顎の骨が痩せて入れ歯との間にすき間ができる


歯がぬけたところの骨(歯槽骨)は少しずつやせていき、歯ぐきも低く平らになっていきます。入れ歯の内側とのあいだにすき間ができると、噛んだときに入れ歯が沈んだり浮いたりします。その結果、歯ぐきの一部に力がかたよって痛みが出ます。


人工歯のすり減り・バネの緩みで噛み合わせが崩れる


数年使った入れ歯では、人工歯がすり減ったり、クラスプ(残りの歯にかける金属のバネ)がゆるんだりします。噛み合わせの位置がずれるため、食事のたびに入れ歯が揺さぶられます。バネをかけた歯にも負担がかかるので、一般的には、ご自身の歯を残すためにも早めの確認がすすめられます。


口の乾きと糖尿病が入れ歯の吸着や歯茎の傷の治りに関わることも


唾液には入れ歯と歯茎を密着させる役目があります。少ないと吸着が弱まり、こすれて傷ができやすくなります。


また、唾液には口の中で雑菌が増えるのをおさえる働きもあり、口が乾くとむし歯や歯周病になりやすくなります1。糖尿病のある方で口の乾きを感じるときも、歯茎の傷はそのままにせず相談しましょう。


入れ歯安定剤で固定して使い続けてもよい?補助できる範囲と限界


安定剤は一時的な補助であり、合わなくなった入れ歯の形を直すものではありません。受診までのつなぎとして使い、並行して歯科で状態を確かめるのが現実的です。


安定剤で期待できることと研究で分かっていること


総入れ歯では、安定剤によって入れ歯の外れにくさや噛む力、使い心地がよくなる傾向があります23。ただし、これはもともと合っている入れ歯での話が中心です。部分入れ歯にそのまま当てはまるとは限らず、毎日きれいに落として清掃する手間もかかります。


「安定剤で合えば治った」「自分で削れば楽になる」はよくある誤解


浮きが抑えられていても、骨や歯茎の変化は進んでいることがあります。厚く塗ると噛み合わせが高くなり、別の場所が痛む原因にもなります。市販のやすりなどで自分で削ると、合わなくなったり割れたりして修理が難しくなるため控えてください。


安定剤に頼らず早めに歯科に相談したい症状


  • 歯茎の傷や口内炎が数日たっても治らない
  • 出血や腫れがある
  • 痛みで食事がとれない
  • 入れ歯が割れた、バネが外れた

受診までは無理に装着せず、外して洗い、乾かないよう水か洗浄剤につけて保管しましょう。


ポイント

安定剤はあくまでつなぎです。浮きが続くときは、入れ歯の形を合わせ直す調整や裏打ちを歯科で相談しましょう。


調整・裏打ち・修理・作り直しのどれが必要?症状から見た目安


どの対応になるかは、痛む場所が一部か全体か、入れ歯が壊れているか、骨の変化がどの程度かで変わります。最終的な判断は診察で行います。


一部が当たって痛い・全体が浮く・割れた場合の対応の目安


症状考えられる対応
特定の場所が当たって痛い当たる部分の調整
全体が浮く・すき間がある裏打ち(リライン:内側に材料を足して形を合わせる)
割れた・バネがゆるい修理・バネの調整
人工歯のすり減りで噛み合わせ全体が崩れた作り直し

症状が重なることもあり、裏打ちのあとに細かな調整を数回行う場合もあります。


骨が痩せて入れ歯が合いにくい場合に検討できる方法


何度直しても安定しにくい場合、インプラントで入れ歯を支える方法(インプラントオーバーデンチャー)が選択肢になります。骨が少ない方向けに、デジタル設計で骨の上に置く型のインプラントも研究されています4。骨の量はCTで立体的に確認でき、足りないと言われても骨造成で検討できることがあります。


一方で、この方法は健康保険がきかない自費の治療になります。治療にかかる期間や通う回数、費用は、入れるインプラントの本数や、骨をふやす処置がいるかどうか、入れ歯のつくりによって変わります。一般的には、診察で口の中を見てから費用の説明を受けます。


インプラントでは、下唇やあごの感覚がにぶくなることもあります。手術のあとに痛みや腫れ、出血が出ることもあり、治療後も定期的なメンテナンスが必要です。


費用と通院回数は相談の最初に何を確かめておく?


保険か自費か、型どりや調整の回数、できあがるまでの期間、治療のあいだも今の入れ歯を使えるか、の4点を確かめましょう。一般的に、保険の入れ歯でも調整や裏打ちを受けられます。素材を選べる自由診療(自費診療)の入れ歯では、作り直しにかかる期間や通院回数、費用が素材や作り方によって変わります。


一般的には、費用は診察のあとに説明を受けます。また、入れ歯は当たる場所が痛んだり、バネをかけた歯に負担がかかったり、長く使うことですり減りや破損が起きたりすることがあります。自費診療は保証やメンテナンスの条件も医院ごとに違うため、通院できる曜日や予算の希望とあわせて最初に伝えて構いません。


受診までの食事はどうする?食べ方の工夫と歯科に伝えたい記録・持病の情報


受診までは痛む部分に負担をかけない食べ方で栄養の偏りを防ぎ、症状を記録しておきましょう。記録があると、少ない通院回数で原因を絞り込みやすくなります。


痛む側を避けつつ柔らかい主食に偏らない食べ方の工夫


肉や野菜は小さく切り、煮込みや蒸し料理でやわらかくして、痛む部分に負担をかけず、無理のない範囲でゆっくり噛みます。おかゆや麺類などの主食だけに偏らず、食べる量にも気を配り、たんぱく質を含むおかずを組み合わせましょう。食べるときだけ装着する使い方は、自己判断せず歯科で相談してください。


痛む場所・入れ歯がずれやすい食べ物・症状が出る場面を記録する方法


  • 痛む場所(上下・左右・前か奥か)
  • 入れ歯が浮きやすい食べ物(肉、生野菜、餅など)
  • 食べ始めか後半か、傷や出血の有無

スマートフォンのメモや口の中の写真で残すと、困りごとをつい小さく伝えてしまう方でも、診察で状況を伝えやすくなります。


糖尿病の治療状況・HbA1c・服用中の薬は歯科でどう伝える?


最近のHbA1cの値、通っている病院、飲んでいる薬、低血糖になったことがあるかを伝えてください。歯ぐきの傷の治りかたや、抜歯・インプラントなどをいつ行うかを決めるときに関わります。医療機関によっては、医科と歯科で持病や処方された薬の情報を共有し、歯科衛生士とも力を合わせて口の中のケアを行っています。


ポイント

数日分の記録とお薬手帳をそろえ、食事の困りごとをそのまま歯科で相談しましょう。


よくある質問


Q1. 部分入れ歯が痛いとき、食事はどうしたらいいですか?


A. 痛む部分に負担をかけないよう、食材を小さく切ってやわらかく調理し、無理のない範囲でゆっくり噛みましょう。痛みが強い日は無理に装着せず、汁物や卵料理、豆腐などでたんぱく質を補うと栄養が偏りにくくなります。痛みが続く場合は早めに歯科で当たる場所を確認してもらいましょう。


Q2. 食べるときだけ入れ歯を装着してもいいですか?


A. 一般には、食事のときだけでなく日中も入れ歯をつけておき、寝るときは外すことが多いです。外している時間が長いと、残っている歯が傾いたり動いたりして、入れ歯がさらに合いにくくなることがあります。痛みがあるときなどはつける時間を調整することもあるため、歯科医師にご相談ください。


Q3. 夜寝るときは入れ歯を外したほうがいいですか?


A. 歯茎を休ませ、清潔を保つために就寝時は外すよう指示されることが多いです。ただし噛み合わせや残っている歯の状態によって指示が変わることもあるため、担当の歯科医師の説明に沿ってください。外したら洗浄し、乾かないよう水か洗浄剤につけて保管します。


Q4. HbA1cが高めでも入れ歯の調整や抜歯はできますか?


A. 入れ歯のあたりを直すことや裏打ちは、血糖の値にかかわらず相談できることが多いです。歯を抜くなど、血が出たり傷ができたりする処置は、HbA1cやからだの様子をふまえ、内科のかかりつけの先生と話しあいながら時期を決めます。検査の結果やお薬手帳を持っていくと、話を進めやすくなります。


参考文献


1. 口の中が乾燥する|口腔外科相談室|日本口腔外科学会. https://www.jsoms.or.jp/public/soudan/kouku/kanso/

2. Shu X, Fan Y, Lo ECM, et al. A systematic review and meta-analysis to evaluate the efficacy of denture adhesives. Journal of Dentistry. 2021. PMID: 33727079 / DOI: 10.1016/j.jdent.2021.103638

3. Lemos CAA, da Fonte Porto Carreiro A, Rosa CDDRD, et al. Does the use of an adhesive improve conventional complete dentures? A systematic review of randomized controlled trials. The Journal of Prosthetic Dentistry. 2022. PMID: 33551134 / DOI: 10.1016/j.prosdent.2020.11.041

4. Al-Nawas B, Bär AK. Virtual surgical planning and customized subperiosteal implants: a systematic review. International Journal of Oral and Maxillofacial Surgery. 2025. PMID: 40263044 / DOI: 10.1016/j.ijom.2025.04.001


小西 雅也

歯科医師


熊谷ディアベテスクリニック歯科

医長

小西 雅也

▶ 監修者プロフィール

経歴
昭和62年
日本歯科大学歯科専門学校 歯科技工士科卒業 歯科技工士登録
Branemark Implant Technical Aspects 取得
平成7年
日本歯科大学新潟生命歯学部卒業 歯科医師免許取得
平成11年
日本歯科大学大学院新潟歯学研究科終了 歯学博士号取得
平成11~18年
日本歯科大学新潟歯学部附属病院口腔外科 講師
平成18年~
日本歯科大学新潟歯学部附属病院インプラントセンター臨床講師
平成21年
石丸安世記念熊谷ディアベテスクリニック歯科 医長就任
資格・所属学会
IMZ twin plus implant system FRIADET社(ドイツ)公認インストラクター
FRIALIT2 implant system FRIADENT社(ドイツ)公認インストラクター
カムログインプラントアルタテント社(スイス)テクニカルアドバイザー
SPI implant thoman medical社(スイス)インストラクター
国際インプラント学会 認定医
日本口腔診断学会 認定医
日本歯科大学歯学会
日本口腔外科学会
日本補綴歯科学会
日本口腔インプラント学会
IADR JADR