インプラント治療では、チタン金属でできたインプラント体(フィクスチャー)を顎の骨へ埋め入れます。
顎の骨へ埋め入れたインプラント体に連結部品であるチタン製のアバットメントを連結し、セラミックでできた人工歯(上部構造)を装着することでお口の中にインプラントが完成します。
インプラントの素材であるチタン、および、人工歯の素材のセラミックはどちらも生体親和性が高く、身体に馴染みやすいです。生体親和性の高さから、インプラントのほか、人工関節の部品など、医療現場において幅広くチタン、セラミックが用いられています。
今回は、インプラントに用いられる素材「チタン」「セラミック」の身体への馴染みやすさについてのお話です。
■インプラント治療でチタンが用いられるのはなぜ?
以下の理由により、インプラント治療ではチタン金属でできたインプラント体&アバットメントが用いられています。
①顎の骨と強固に結合する性質を持っている
インプラント治療でチタン製のインプラント体が用いられるのは、チタン金属が顎の骨と強固に結合する性質を持っているためです。
手術で埋め入れたチタン製のインプラント体は「オステオインテグレーション(オッセオインテグレーション)」という生体的な現象により、顎の骨と強固に結合します。
接着剤でくっつけた様な接着ではなく、チタン製のインプラント体の表面の凸凹の中に顎の骨が入り込んでがっちりと生体的に結合するため、高い安定性を得られます。
②元素が安定しており、金属アレルギーを起こしにくい
チタンは遷移金属に分類されます。遷移金属は元素が安定しており、唾液への金属イオンの溶け出しが少ないです。
金属イオンの溶け出しが少ないため、チタンは金属アレルギーを起こしにくく、生体親和性(身体への馴染みやすさ)が高いです(※)。
(※)チタンが絶対に金属アレルギーを起こさない訳ではあり
ません。チタン製のインプラント体&アバットメントが
原因で金属アレルギーを起こす可能性もあります。
■インプラントの人工歯はセラミックが一般的な理由
以下の理由により、現在、インプラントの人工歯の素材にはセラミック(ジルコニアセラミック)が一般的に用いられています。
①生体親和性が高く、身体に馴染みやすい
レジンなどのプラスチック樹脂と異なり、陶器と同じ無機物の粉末から作られているセラミックは生体親和性が高いです。
生体親和性が高く身体に馴染みやすいため、インプラントの人工歯のほか、人工関節やペースメーカーの部品として、医療の現場で幅広くセラミックが用いられています。
②自然な白さの歯に近づけやすい
セラミックは光を透しやすく、高い透明度を持ちます(※)。
透明度が高いため、セラミック製の人工歯は自然な白さの歯に近づけやすいです。天然歯のエナメル質に近い透明感を持つ、自然な白さの歯を演出できます(※)。
(※)従来型ジルコニアなど、透明度に劣るセラミックもあります。
③強度が高く、人工歯の割れや欠けを起こしにくい
現在、インプラントの人工歯の素材にはジルコニアセラミックが一般的に用いられています。
ジルコニアは金属と同程度の硬さ(1,000MPa前後)があり、強度が高いセラミックです。強度が高いため、通常の使い方であれば、人工歯の割れや欠けが起きることはほぼありません(※)。
(※)ジルコニア製の人工歯が100%、割れ
や欠けを起こさない訳ではありません。
④吸水性が低く、人工歯の劣化、および、着色・変色を起こしにくい
吸水性とは、物質の水の吸い込みやすさを指す言葉です。吸水性が高い(=レジン(プラスチック樹脂)など)と、劣化や着色・変色が起きやすくなります。
セラミックは吸水性が低い物質です。瀬戸物のお茶碗や湯呑が水を吸い込みにくいことを連想していただけると、セラミックの吸水性の低さをイメージしやすいかと思います。
吸水性が低いため、セラミック製のインプラントの人工歯は劣化、および、着色・変色を起こしにくいです。
インプラント治療を受け、セラミック製の人工歯にすることで、長期間、白い歯を維持しやすくなります(※)。
(※)インプラント、および、天然歯の白さを保つため
には、毎日の歯みがき+歯間清掃によるセルフケアと
歯科医院で受ける定期メンテナンスが必要です。
⑤非金属のため、金属アレルギーを起こさない
セラミックは非金属のため、金属アレルギーを起こしません。
金属アレルギーが心配な方も、非金属のセラミックでできた人工歯であれば、歯科用素材が原因の金属アレルギーが起きる可能性を低減できます。
【熊谷ディアベテスクリニック歯科ではインプラントの無料相談を行っています】
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