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持病があっても人工歯根治療の可能性は広がります
「糖尿病や高血圧があるから」という理由で人工歯根治療をあきらめかけていませんか。血糖・血圧のコントロールや内科との連携、生体モニターによる全身管理が整うことで、治療への道が開ける場合があります。本記事では、安全に治療を進めるための目安や体制について分かりやすくお伝えします。
この記事の要点まとめ
- 糖尿病・高血圧があっても、血糖・血圧のコントロールが整うことで人工歯根治療の可能性が広がる場合があります。
- 内科との連携や服用薬の適切な管理、麻酔科専門医による全身管理体制が安全な治療を支えます。
- 術後は3〜4ヶ月ごとの定期メンテナンスと毎日のセルフケアでインプラント周囲炎の予防に努めることが大切です。
目次
- 糖尿病・高血圧で人工歯根治療に配慮が必要な理由と目安となる数値
- 安全な手術を支える「内科連携」と服用薬の調整・全身管理体制
- 持病がある患者さまが知っておくべき「インプラント周囲炎」リスクと日常のセルフケア
糖尿病・高血圧で人工歯根治療に配慮が必要な理由と目安となる数値

持病がある場合に手術で慎重な判断が求められる背景には、傷口の治り方や手術中の全身状態への影響があります。ただし、数値をきちんとコントロールできれば、治療の可能性は広がると考えられています1。
糖尿病患者さまの血糖値・HbA1cの目安と傷口の治りへの影響
血糖値が高い状態が続くと免疫機能が低下し、術後の感染リスクや骨との結合の遅れにつながるとされています1。目安のひとつとされるのがHbA1c 7.0%未満という数値です。これを大きく上回る段階では、まず内科での血糖コントロールを優先し、状態が安定してから治療計画を組み直すことが大切になります。空腹時血糖値なども含め、複数の指標を総合的に見ながら判断していきます。
高血圧患者さまの血圧測定と手術を安全に行うための数値目安
手術中の緊張やストレスで血圧が急上昇すると、循環器系への負担が大きくなります。目安としては収縮期血圧がおおむね160mmHg未満、拡張期が100mmHg未満に落ち着いていることが望まれます1。当日の血圧に加え、普段の家庭血圧の記録も参考にします。降圧薬でコントロールできている場合は、内科主治医と相談のうえ服用を継続するのが基本です。
治療を一時的に見送る、または慎重な検討を要するケース
コントロールが難しい糖尿病、重度の心疾患、腎機能の著しい低下、活動性の感染症などがある場合は、治療を一時見送るか、慎重な判断が必要になります1。ただし一律に線引きするのではなく、全身状態を丁寧に評価したうえで可能性を探る姿勢が大切だと考えています。
安全な手術を支える「内科連携」と服用薬の調整・全身管理体制

持病がある方の治療で何よりも大切なのは、歯科と内科がチームとして関わる体制です。当院は熊谷ディアベテスクリニックに併設され、医科歯科連携のもとで治療を進めています。
抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)や降圧薬の休薬・継続判断
抗凝固薬や抗血小板薬を自己判断で中止してしまうと、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まる恐れがあるとされています1。近年は服用を継続したまま手術を行う方針が主流で、止血対策を丁寧に行うことで対応できるケースが多くあります。降圧薬も同様に、休薬か継続かは内科主治医と歯科医師が相談して決定します。患者さまご自身で判断せず、必ず事前にお申し出ください。
歯科医師と内科主治医の「対診」による綿密な情報共有
対診とは、歯科医師と内科医が紹介状や診療情報提供書を通じて、全身状態・検査値・服用薬などを共有する仕組みのことです。当院では熊谷ディアベテスクリニックとの連携により、糖尿病・高血圧・心疾患・腎疾患などをお持ちの患者さまの情報を密に共有しながら治療方針を組み立てています。「医科歯科連携による安心の歯科治療」は当院が大切にしている信念のひとつです。
手術中の血圧変動に配慮する静脈内鎮静法と生体モニターによる全身管理
静脈内鎮静法は、点滴でリラックス作用のある薬剤を投与し、うとうととした状態で手術を受けていただく方法です。緊張がやわらぐことで、血圧の急な上昇を抑えやすくなると考えられています。当院では日本麻酔科学会認定の麻酔科専門医が担当し、生体モニターで血圧・脈拍・酸素飽和度をリアルタイムに監視しながら手術を進めます。異常の早期発見と迅速な対応につながる体制です。
持病がある患者さまが知っておくべき「インプラント周囲炎」リスクと日常のセルフケア
治療後に長く快適に使い続けるためには、術後のメンテナンスが欠かせません。特に糖尿病をお持ちの方は、インプラント周囲炎に対する注意が求められます。
糖尿病による免疫力低下とインプラント周囲炎への注意
インプラント周囲炎とは、人工歯根の周りの歯ぐきや骨に炎症が起きる状態で、進行するとインプラントを支える骨が失われることがあります。血糖値が高い状態では細菌への抵抗力が落ち、炎症が進みやすいとされています1。歯周病と糖尿病は相互に影響し合うことが知られており2、口腔内の炎症が血糖コントロールに影響することもあります。だからこそ、血糖管理と口腔ケアの両輪が大切になるのです。当院には日本歯科衛生士会認定糖尿病予防指導歯科衛生士が在籍し、生活習慣も含めたサポートを行っています。
毎日の丁寧なセルフケアと歯科医院での専門的な定期メンテナンス
ご自宅では、やわらかめの歯ブラシに加え、歯間ブラシやデンタルフロス、タフトブラシなどを組み合わせ、インプラント周囲の汚れを丁寧に除去することが基本です2。就寝前のケアはとくに念入りに行いましょう。加えて、3〜4ヶ月ごとの定期メンテナンスで、超音波スケーラーによるプロフェッショナルクリーニングや噛み合わせの確認、レントゲンでの周囲骨のチェックを受けることも大切です。当院では「予防処置による早期発見と早期治療」を信念のひとつに掲げ、長期的予後を見据えたサポートを続けています。気になる変化を感じたら、早めにご相談ください。
よくあるご質問
Q1. HbA1cが7.0%を少し超えていますが、治療はあきらめるべきでしょうか?
A. すぐにあきらめる必要はありません。内科主治医と連携しながら、まず血糖コントロールを整えることで治療の可能性が広がる場合があります。当院では医科と歯科が協力し、状態に応じた治療計画をご提案しています。
Q2. 血液をサラサラにする薬を飲んでいますが、休薬が必要ですか?
A. 自己判断での休薬はお控えください。近年は服用を継続したまま、止血対策を丁寧に行う方針が主流となっています。内科主治医と歯科医師が相談のうえで判断しますので、まずはご相談ください。
Q3. 手術中に血圧が急上昇しないか心配です。
A. 当院では静脈内鎮静法や生体モニターによる全身管理を行い、麻酔科専門医が担当します。血圧・脈拍・酸素飽和度をリアルタイムで監視し、異常の早期発見に努めています。
Q4. 治療後のメンテナンスはどのくらいの頻度で必要ですか?
A. 一般的には3〜4ヶ月ごとの定期メンテナンスが推奨されます。特に糖尿病をお持ちの方はインプラント周囲炎のリスクに配慮し、ご自宅でのケアと合わせて継続的なチェックを大切にしていきましょう。
参考文献
1. 厚生労働省. 健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報). https://kennet.mhlw.go.jp/information/
2. 厚生労働省. 健康づくりサポートネット(口腔・歯の健康). https://kennet.mhlw.go.jp/information/teeth
日本歯科大学歯科専門学校 歯科技工士科卒業 歯科技工士登録
Branemark Implant Technical Aspects 取得
平成7年
日本歯科大学新潟生命歯学部卒業 歯科医師免許取得
平成11年
日本歯科大学大学院新潟歯学研究科終了 歯学博士号取得
平成11~18年
日本歯科大学新潟歯学部附属病院口腔外科 講師
平成18年~
日本歯科大学新潟歯学部附属病院インプラントセンター臨床講師
平成21年
石丸安世記念熊谷ディアベテスクリニック歯科 医長就任
FRIALIT2 implant system FRIADENT社(ドイツ)公認インストラクター
カムログインプラントアルタテント社(スイス)テクニカルアドバイザー
SPI implant thoman medical社(スイス)インストラクター
国際インプラント学会 認定医
日本口腔診断学会 認定医
日本歯科大学歯学会
日本口腔外科学会
日本補綴歯科学会
日本口腔インプラント学会
IADR JADR

