目が見えにくくなる、傷の治りが遅くなる、人工透析が必要になるなど、重い合併症をひきおこす可能性がある怖い病気、糖尿病。
糖尿病は歯周病やむし歯と関係が深く、歯の健康にも悪影響をおよぼすことが判っています。
今回は「糖尿病と歯の関係」についてのお話です。
目次
■糖尿病は生命や歯の健康に悪影響をおよぼします
◎糖尿病は生命にかかわる病気の原因に
膵臓からのインスリン分泌に異常が起きる糖尿病。糖尿病は放置していると身体の血管や神経に悪影響をおよぼします。
糖尿病の合併症には心臓病や腎臓病、脳卒中、神経の障害、失明などがあります。
◎歯周病は糖尿病の合併症
近年では“第6の合併症”として、糖尿病が歯周病の進行を促進することが明らかになっています。
糖尿病は慢性的な高血糖状態が続き、身体の血管や神経に悪影響をおよぼす病気です。糖尿病になると傷の治りが遅くなったり、足の壊疽や神経障害、骨粗しょう症などをひきおこしやすくなります。
糖尿病ではない方は歯ぐきが歯周病菌に侵されても血液が持つ免疫機能により組織を自浄する作用が働きます。しかし、糖尿病になると免疫機能が衰えるため歯ぐきが歯周病菌の攻撃に耐えきれず、歯周病が進行しやすくなってしまうのです。特に、ヘモグロビンA1cの数値が7%を超えた糖尿病の方は歯周病が悪化するスピードが早まります。
{歯周病が糖尿病を悪化させる原因に}
糖尿病は歯周病の合併症であると同時に、歯周病が糖尿病を悪化させる原因にもなります。
歯周病になると炎症物質であるサイトカインが分泌されます。サイトカインの作用により、血糖値を一定に保つ(血糖値を下げる)働きを持つインスリンの機能をさまたげてしまうのです。インスリンの機能がさまたげられると血糖コントロールが乱れ、糖尿病が悪化しやすくなります。
また、歯周病が重度に進行すると歯槽骨が溶けて歯がグラグラになり、食べ物をしっかり噛めなくなります。食べ物をきちんと咀嚼できないと野菜やお肉、お魚などをバランス良く摂取することが難しくなり、糖尿病の改善に欠かせない血糖コントロールに支障をきたします。
◎糖尿病はむし歯にもかかりやすくなる
糖尿病になると唾液の分泌が減少し、お口の中が乾きやすくなります。
唾液はむし歯菌などの細菌を殺す自浄作用があるため、唾液が減少するとむし歯にかかりやすくなります。
唾液の減少に加え、糖尿病の方は免疫機能も低下するためさらにむし歯菌に感染しやすくなり、むし歯の進行が早まります。
■糖尿病の方はインプラント治療を受けられる?
◎1型糖尿病の方はインプラント治療を受けられません
1型糖尿病の方は膵臓からインスリンがまったく分泌されないため、血糖値を安定させるのが難しいです。
血糖コントロールができない場合、糖尿病の合併症である血流障害、神経障害、免疫機能の低下が常に起きるリスクが生じます。そのようなリスクを持つ1型糖尿病の方にインプラント手術を行ってしまうと、血流障害によるフィクスチャーと歯槽骨の骨結合の阻害や免疫機能不足による患部の化膿、創口の治癒の遅れなど、トラブルが起きる可能性が高いです。
上記の理由から、1型糖尿病の方はインプラント治療を受けられません。1型糖尿病の方が歯を補う場合はブリッジや入れ歯など、インプラント以外の補綴治療を検討します。
◎2型糖尿病の方は血糖コントロールができていればインプラント治療が可能に
2型糖尿病の方はインスリン不全が起きているものの、投薬と食事の改善によって血糖値をコントロールすることでインスリンの分泌を促進できる可能性があります。
2型糖尿病の方で血糖コントロールができており血糖値の改善が見られる場合は、糖尿病を診察する内科と歯科が密に連携することでインプラント治療を行えるケースがあります(※)。
(※)2型糖尿病の方へのインプラント治療の適応・非適応は
患者様や身体の状態によって異なります。
【糖尿病の方のインプラント治療は当院までご相談ください】
糖尿病は身体だけではなく歯の健康にも悪影響をおよぼします。
糖尿病を防ぐ、または、糖尿病の進行を抑えるには、自治体の定期健診や特定健診(メタボ診断など)を受け、日頃からご自身の血糖値を把握しておくことが大切です。
糖尿病の予防に加え、歯科医院で定期的に検診を受けることで歯の健康を保ちやすくなります。定期検診により、歯周病やむし歯などのお口の病気の早期発見・早期治療につながり、歯を残せる確率を高められます。
糖尿病による歯周病の悪化やむし歯、歯根破折などが原因でどうしても歯を残せない場合はインプラントをはじめとする補綴治療を進めていきます。
糖尿病をお持ちでインプラント治療をご検討中の方は熊谷ディアベテスクリニック歯科までご相談ください。相談費は無料です。
内科併設(糖尿病専門内科)の強みを生かし、医科歯科の連携を密にした歯科治療をご提供いたします。