歯列のいちばん奥に生えてくる歯、親知らず(第3大臼歯、智歯)。
先月のブログでは、「抜いた方が良い親知らず・抜かなくても大きな問題が起きにくいこともある親知らず」のお話をさせていただきました。
親知らずは必ずしも抜かなければならない訳ではありません。抜歯は必須ではありませんが、抜いた方が良い親知らずを放置すると、親知らずのむし歯などのデメリットが生じるおそれも。
目次
■抜いた方が良い親知らずとは?
◎抜いた方が良い親知らずについて
先月のブログのおさらいになりますが、以下のようなケースでは、親知らずを抜いた方が良いとされています。
[親知らずの抜歯が推奨されるケース]
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・親知らずのむし歯をくり返している
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・斜めor横向きに親知らずが生えており、前の歯を押している
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・歯茎の中に親知らずが部分的に埋まっており、歯の一部が歯茎の外に出ている(半埋伏智歯)
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・歯茎の中に親知らず全体が完全に埋まっている(完全埋伏智歯)
■抜いた方が良い親知らずを放置した場合に起こり得るデメリット
1.親知らずがむし歯・歯周病にかかりやすくなる
歯列のいちばん奥にあるため、親知らずは歯磨きをしにくいです。ただでさえ磨きにくい親知らずですが、以下の要素があると親知らずがさらに磨きにくくなる可能性があります。
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・斜めor横向きに親知らずが生えており、前の歯を押している
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・歯茎の中に親知らずが部分的に埋まっており、歯の一部が歯茎の外に出ている(半埋伏智歯)
上記のような要素がある親知らずは歯の隅々までブラシを行き届かせるのが難しく、歯垢・食べかすなどの磨き残しが出やすいです。
親知らずの磨き残しが増えることで、口腔内にむし歯菌・歯周病菌などの細菌が増殖。口腔内に増殖した細菌により、親知らずがむし歯・歯周病にかかりやすくなります。
2.親知らずのむし歯が進行し、頬が腫れたり、激しく痛むことがある
歯列のいちばん奥にあるため、ご自身では親知らずのむし歯に気づきにくいです。
そのため、親知らずのむし歯を放置してしまいむし歯が重度に進行して
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・歯の神経が細菌に侵され、頬が腫れる・激しく痛む
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・進行したむし歯によって顎の骨が溶ける
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・顎の骨に侵入した細菌が原因で、顎骨骨髄炎などの重篤な症状をひき起こす
ケースも珍しくありません。
3.親知らずが前の歯を押し、全体の歯並び・噛み合わせが乱れることがある
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・斜めor横向きに親知らずが生えており、前の歯を押している
上記のような要素がある親知らずを放置するのは、あまりおすすめできません。親知らずが前の歯を押すことで奥歯~前歯の順にドミノ倒し的な負荷がかかり、全体の歯並び・噛み合わせが乱れるケースがあります。
4.妊娠中、親知らずのむし歯が痛んでも治療・抜歯を行えないことがある(痛み止めなどの対処のみになる)
親知らずのむし歯で注意したいのが、妊娠中です。
妊娠中、以下のような時期はお母さん・お腹の中の赤ちゃんへの影響を考慮し、むし歯治療・抜歯など、麻酔を用いる歯科治療を行えないことがあります。
[むし歯治療・抜歯など、麻酔を用いる歯科治療を行えないことがある妊娠中の時期]
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・妊娠初期(1~4ヶ月目)
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・妊娠後期(8~10ヶ月目)
比較的状態が安定しているとされる妊娠中期(5~7ヶ月目)であれば、麻酔を用いてのむし歯治療、歯茎の切開を伴わない抜歯(普通抜歯)を行えるケースもあります。
ただし、妊娠中の時期を問わず、原則として、妊娠中は歯茎の切開を伴う難抜歯は行えないことが多いです。
妊娠中はお母さん・お腹の中の赤ちゃんへの影響を考慮し、カロナール系など、比較的副作用が少ない痛み止めの処方や、歯のクリーニングなど、痛みをやわらげる処置・口腔内の清掃状態を改善する処置しか行えない場合もあります。
「親知らずのむし歯が痛んでも、治療・抜歯を行えず、痛み止めで我慢するしかない」といった事態を避けるためにも、妊娠のご予定がある方は、妊娠前に歯科医院を受診しておくことをおすすめします。
【親知らずでお困りの方、親知らずの抜歯をお考えの方はご相談ください】
先月にひき続き、今回は「抜いた方が良い親知らずを放置した場合のデメリット」について、お話をさせていただきました。
熊谷ディアベテスクリニック歯科では、親知らずの抜歯も行っています。親知らずのむし歯をくり返しているなど、親知らずでお困りの方、親知らずの抜歯をお考えの方は当院までご相談ください。