主に、歯の神経に進行した重度のむし歯などに対して行う、根管治療。
前回のブログでは、根管治療の目的・役割をお話ししました。
今回は、根管治療の流れ・期間、および、根管治療中にしてはいけないことについて、ご説明します。
目次
■根管治療の流れ
根管治療は、以下のような流れで進めていきます。
0.初診
重度のむし歯では、歯の神経にむし歯菌が達し、歯の神経が炎症を起こしているケースが少なくありません。
歯の神経が炎症を起こしていると麻酔が効きにくく、そのままの状態では治療を始められないことがあります。このため、歯の神経が炎症を起こしている場合、初診では、抜髄などの歯科治療は行わず、応急処置のみを実施するケースも。
応急処置が必要なケースでは、患者様の状態に応じて、痛み止めの内服薬などを処方することがあります。応急処置後、痛みが落ち着くのを待ち、次回のご来院時より、むし歯治療、および、根管治療を開始していきます。
なお、むし歯の侵襲が大きく、これ以上放置するとさらにむし歯が進行する可能性がある場合は、初診の際にむし歯を削り、抜髄を行うケースもあります。
1.むし歯の感染部分の除去
麻酔をした上で、むし歯に侵されてやわらかくなった象牙質を削り、むし歯の感染部分を除去します。
2.抜髄
むし歯の感染部分を除去した後は、歯の中央に通う歯の神経を除去する抜髄(ばつずい)を行います。
抜髄は歯の中央(歯冠部分の歯髄腔)にある歯の神経を除去する処置です。抜髄をしても、歯の根っこ(根管)にはまだ、根管部分の歯の神経が残っています。抜髄後は、歯の根っこに残っている根管内部の神経や血管を綺麗にする根管治療を進めていきます。
3.根管内部のお掃除
根管内部にファイルやリーマーなどの器具を挿入し、根管の中に残っている歯の神経や血管をお掃除して綺麗にしていきます。
4.お薬を用いての根管内部の殺菌(貼薬:ちょうやく)
根管清掃では、器具によるお掃除と共に、根管内部にお薬を入れ殺菌を行います。根管内部にお薬を入れた後は仮のフタをして、次回のご来院時まで、お薬の作用で根管内部を殺菌し、綺麗にしていきます。
{根管治療は複数回の通院が必要になることが多いです}
根管治療は、1回のみで終わるケースはあまりありません。通常、根管治療は複数回の通院が必要になることが多いです。
根管治療では、3の根管内部のお掃除と4の貼薬をセットとして、複数回のお掃除&貼薬を行い、根管の中を綺麗にしていきます。
5.最終的なお薬の充填(根充:こんじゅう)
根管治療中は、複数回通院していただきます。3と4をくり返し、根管内部が綺麗になったことが確認できましたら、根管内部に最終的なお薬を詰めます(根充:こんじゅう)。
根充の目的は、最終的なお薬を詰め、根管内部を殺菌することで治療後に根管の中で細菌感染が再発しないようにするためです。根充には、お薬の充填により、根管内部を緊密にして細菌の侵入を防ぐ+歯の破折を防ぐ役割もあります。
歯を削った量が多く、歯の強度が不足している場合は、根充の際、歯根内部・被せ物の中に支台(ポスト&コア)を入れ、歯の根っこ・歯冠を補強することがあります。
6.歯型取り・被せ物を装着
根充後は、被せ物を作るために歯型をお取りします。
歯型取りで得られたデータを歯科技工所に送り、被せ物ができあがりましたら、再度、ご来院いただきます。
できあがった被せ物を装着し、患者様に着け心地・噛み心地をお伺いして最終的な調整を行います。調整後、問題がなければ、根管治療が完了となります。
■根管治療の平均的な期間は?
◎根管の状態により、治療期間が異なります
気になる方も多い、根管治療の期間。
根管治療は、根管の状態によって治療期間が異なります。「何週間・何ヶ月で終わる」と、はっきりと期間はお伝えできません。
はっきりと期間はお伝えできませんが、治療がスムーズに進んだ場合は、1~2ヶ月以内に根管治療を終えられることもあります。
■根管治療中にしてはいけないこと
◎途中で治療をやめてしまう
根管治療の有無に関わらず、歯科治療中、途中で治療に行かなくなってしまうのはやめましょう。
特に、根管治療では途中で治療をやめてしまうと、仮のフタが外れるケースも。仮のフタが外れると、根管内部に細菌が侵入しやすくなり、根管が細菌に感染するおそれがあります。
根管内部の細菌感染が進むと根管治療の難易度が上がるほか、根尖性歯周炎や歯根嚢胞、顎骨骨髄炎など、重篤な状態に進行してしまう可能性も。
【歯の違和感・痛みがあるときは早めの受診を】
根管治療が必要になるまでむし歯を放置するのは、よくありません。
歯科医院での定期検診を利用し、むし歯は、初期の段階で発見し、治療を始めるのが望ましいです。
歯の違和感・痛みがあるときは、早めに歯科医院を受診しましょう。